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TAKESHI'S コラム 第4回
萩の七化けとは?
萩の七化けと言う言葉を耳にした事はないでしょうか?
陶器には貫入と呼ばれる細かいひび割れが釉薬の表面に入っています。
釉薬の種類によっては見え難いものもありますが、器を使い込んでいくうちにその貫入に茶しぶなどの色がしみ込んでいき色が変化していく事を「萩の七化け」と言います。
この七化けは茶人達からは茶慣れとも呼ばれ古くからその変化の様を楽しんでいたのです。
特に萩焼で使用している粘土は耐火度がとても高く収縮性も著しいので他の陶器に比べ貫入もより顕著に表れます。
また、温かみのある理由としては対過度の高い粘土ですから釉薬は溶けても内部的にはよく焼き締まっておらずやわらかい風合いになります。
ですがその反面非常にもろく欠け易いという事もあげられます。
欠けやすいので大切に扱うようになり、欠けた場合にも金継ぎをし更にその変化を楽しんでいたようです。
当然食器洗剤も無かった時代ですから使い終わった後は、布できれいに拭いた後、木箱に入れ大切に保管してた事と思います。
そして、上記の理由からも分るように水が漏れると言う事もおこります。
長年使い続けると徐々に漏れは止まっていく場合あり茶人として有名な千利休はその漏れですらこれぞ「詫び寂び」と言ったとかいう説もあります。
それでは、現代ではどうでしょうか?
コーヒーや赤ワインと言った色の濃い物を入れると一発で貫入にしみ込み汚く変化する。
貫入の水分がしみ込んでしまう事から電子レンジに使えない、付け置き洗いが出来ない。
ちょっとあたっただけで欠けてしまう。
水が漏れる器など論外たちまちテーブルや床が濡れてしまいます。
結果、古き時代にはそれでよかったのかも知れませんが、現代では萩焼の特徴=欠点となってしまいました。これではただの不良品ですよね?
しかし我々も、対策をとって無いわけではありません。
少し前までは貫入にあらかじめ弁柄などで色を付け器の色が変化しないようにしたりおかゆを入れ一晩寝かし水止めをする。と言った対策をとったりもしました。
近年では液体セラミックという便利なものも出来ましたので使用前にあらかじめ液体セラミックでコーティングしておく事により色の変化も抑え水漏れも止まります。
粘土の調合を変え割れにくい丈夫な調合にしたり焼成温度を更にあげ焼き締めるといった事をする事もあります。
釉薬も土灰を中心とした釉薬から赤、青、黄、ピンクなどの様々な色が出せる様になりました。
結局、伝統の炎に新風をと言いながらやっていた事はスマホ全盛の時代にガラケーを必死に改造しているに過ぎないような気もしますが・・・
萩焼は元々は約400年前に毛利藩の御用窯として始まりました。
お茶道具として一楽、二萩、三唐津といわれるように素朴で味わいのある色合いが茶人達に好まれました。
茶道をやる人も少なくなって使う用途も変化してきた現代ですがこの「詫び寂び」の心を時々は思い出しこれからの作陶にも役立てていきたいと思います。