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新着情報
多分に漏れず山口の伝統工芸でもある萩焼界もコロナウイルスの影響で大打撃を受けております。
そのような中、全国の窯元が集まって行われるプロジェクトやクラウドファンディングという手法に参加し、新たなファンづくり・情報発信に大和猛が挑戦します。
本日、5月26日より「Makuake(マクアケ)オンライン陶器市2020」で公開しました大和猛の作品は、これまでにない斬新な技法、デザインで、このような陶芸作家の新たな試みにやきものに関心のある方はもとより、関心の無い方にも興味をもって応援して頂く機会となればと考えております。
当窯では基本一品一品手作りが基本で大量生産には向いてません。今回の自粛期間を逆手にとり今まで手が込みすぎて制作に大変時間がかかり通常商品との同時制作ではなかなか難しかった商品を特別価格にて販売させて頂く事にしました。
この機会に是非応援よろしくお願致します。
大和 猛
マクアケ プロジェクトページURL
山口県山陽小野田市に本社があるジャパンファインスチール株式会社様が運営している「JFS 楽天市場店」の山口県特産品コーナーにて販売して頂ける事になりました。
※キャッシュレス決済5%還元は6月30日をもって終了しました。
TAKESHI'S コラム 第5回
萩焼の価格と歩留まり
一般的萩焼と聞いて価格が高いというイメージをもたれてる方も少なくないと思います。
陶磁器展に出展していた時にあるお客様に「萩焼一つ買うのに波佐見焼なら10個は買えるよ」なんて言われた事もあります(笑)
萩焼=高いとは一概に言えないのですが、まずは機械による大量生産品か手作り品なのかで価格は変わってきます。
手間隙や原材料にどこまでのこだわりがあるかが大きく関係します。
瀬戸や有田といった他の産地が早い時期から分業制をとっていたのに対して萩焼の窯元では採土から粘土の生成、成形、焼成までを基本一つの窯元で行います。
これもまた価格が高くなる要因のひとつでもありますが最近では萩焼用の粘土や他の産地の粘土を購入して使っている窯元も少なくありません。
歩留まり(不良品ではないもの)の割合も価格に大きく関わってきます。
萩焼の場合一般的には20%のロス(出荷できないもの)が生まれます。
これはあくまでも平均的な数値ではありますが登り窯で焼成した場合か電機窯、ガス窯を使って焼成した場合でも変わってきます。基本設計自体が600年前の登り窯より現代のハイテク窯の方が当然歩留まりは良いですよね。
販売可能なレベルは各窯の判断にもよるところは大ですのでそのあたりに注目されて購入するのもありだと思います。
ヤマトズギャラリーではこれまでアウトレット商品を売らないというスタンスで来ましたが少しでも価格を抑えたいという理由から一部アウトレット商品の販売を始めました。
お客様からこれはどこが悪いのですか?とよく聞かれるのですがアウトレットといっても傷物という訳ではなく大きさが規格外であったり作者本人が納得いかなかったというレベルなのですが。
また、工芸作品として作成したものと商品では価格が変わってきます。
一例として抹茶碗の場合ですと一般商品として作成したものは比較的安く販売出来るのですが作品としての抹茶碗では高くなってきます。
例えば100個の茶碗を作ったとします。
その中から最高のもの1点選び残りの99個を世に出さず割ったとしましょう。
そうすると1個1万円だとしてもその1/100だと思えば100万円の価値が付くことになりますよね。
こういった理由もあります。
失敗作でいいんで安く分けて欲しいなどともよく言われますがそれは作者自身の判断になるでしょうね。
また作品そのものよりも誰が作ったかでも価格は変わってきます。
人間国宝や無形文化財といった人たちの作品は当然高いでしょうし、数々の受賞経験も価格に関わっています。
しかしながら購入されるのはお客様自身ですので作品、商品の価値というのは千差万別です。
これらを考慮して色々な陶器を観るのも面白いかと思います。
萩焼TAKESHIのTwitterにてプレゼント企画やってます。
詳しくは動画を見てね!
TAKESHI'S コラム 第4回
萩の七化けとは?
萩の七化けと言う言葉を耳にした事はないでしょうか?
陶器には貫入と呼ばれる細かいひび割れが釉薬の表面に入っています。
釉薬の種類によっては見え難いものもありますが、器を使い込んでいくうちにその貫入に茶しぶなどの色がしみ込んでいき色が変化していく事を「萩の七化け」と言います。
この七化けは茶人達からは茶慣れとも呼ばれ古くからその変化の様を楽しんでいたのです。
特に萩焼で使用している粘土は耐火度がとても高く収縮性も著しいので他の陶器に比べ貫入もより顕著に表れます。
また、温かみのある理由としては対過度の高い粘土ですから釉薬は溶けても内部的にはよく焼き締まっておらずやわらかい風合いになります。
ですがその反面非常にもろく欠け易いという事もあげられます。
欠けやすいので大切に扱うようになり、欠けた場合にも金継ぎをし更にその変化を楽しんでいたようです。
当然食器洗剤も無かった時代ですから使い終わった後は、布できれいに拭いた後、木箱に入れ大切に保管してた事と思います。
そして、上記の理由からも分るように水が漏れると言う事もおこります。
長年使い続けると徐々に漏れは止まっていく場合あり茶人として有名な千利休はその漏れですらこれぞ「詫び寂び」と言ったとかいう説もあります。
それでは、現代ではどうでしょうか?
コーヒーや赤ワインと言った色の濃い物を入れると一発で貫入にしみ込み汚く変化する。
貫入の水分がしみ込んでしまう事から電子レンジに使えない、付け置き洗いが出来ない。
ちょっとあたっただけで欠けてしまう。
水が漏れる器など論外たちまちテーブルや床が濡れてしまいます。
結果、古き時代にはそれでよかったのかも知れませんが、現代では萩焼の特徴=欠点となってしまいました。これではただの不良品ですよね?
しかし我々も、対策をとって無いわけではありません。
少し前までは貫入にあらかじめ弁柄などで色を付け器の色が変化しないようにしたりおかゆを入れ一晩寝かし水止めをする。と言った対策をとったりもしました。
近年では液体セラミックという便利なものも出来ましたので使用前にあらかじめ液体セラミックでコーティングしておく事により色の変化も抑え水漏れも止まります。
粘土の調合を変え割れにくい丈夫な調合にしたり焼成温度を更にあげ焼き締めるといった事をする事もあります。
釉薬も土灰を中心とした釉薬から赤、青、黄、ピンクなどの様々な色が出せる様になりました。
結局、伝統の炎に新風をと言いながらやっていた事はスマホ全盛の時代にガラケーを必死に改造しているに過ぎないような気もしますが・・・
萩焼は元々は約400年前に毛利藩の御用窯として始まりました。
お茶道具として一楽、二萩、三唐津といわれるように素朴で味わいのある色合いが茶人達に好まれました。
茶道をやる人も少なくなって使う用途も変化してきた現代ですがこの「詫び寂び」の心を時々は思い出しこれからの作陶にも役立てていきたいと思います。